【12月31日 AFP】昨年のサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)から1年。カタールの首都ドーハの道路脇には、大会スローガンが刻まれたW杯の広告看板が今も立っている。大会から時が過ぎ、灼熱(しゃくねつ)の太陽に容赦なくさらされたせいで、看板を彩るカタールのえび茶色も次第に色あせてきている。(※この記事は、2023年12月13日に配信されました)

 イスラム圏初のサッカーW杯として、多くのファンを集め、同時に激しい議論も呼んだ大会から12か月がたち、ドーハには平穏が戻っている。昨年は試合の映像を流す大型スクリーンとスピーカーが設置され、大勢が集まっていた海岸通りも、人の往来は以前と同じに戻り、弛緩した空気が漂っている。

 W杯の組織委員会で運営部長を務めたジャシム・アルジャシム(Jassim Al Jassim)氏は、AFPの取材に対して、「W杯を超えるのは至難の業。それは確かだ」と話し、「去年の今頃は非常にぴりぴりしていた。しかし全体としては、みんなとても幸せだったし、国として成し遂げたことが非常に誇らしかった」と続けた。

 カタールはW杯をめぐって批判の嵐にさらされた。招致プロセスでは贈収賄疑惑が取り沙汰され、その後も外国人労働者の扱いや男女平等、同性愛を認めない法律、アルコールの取り扱いなどが争点になった。

 それでも一部の専門家は、こうした対立を通じてアラブ諸国内でのカタールのイメージが改善し、2034年W杯のサウジアラビア開催へ向けた道筋がついたと考えている。カタールに拠点を置く政治とスポーツの専門家は、「グローバルスポーツの中心は湾岸諸国へ移ってきている」と指摘し、濃厚となっているサウジ開催は「カタール大会の成功がなければ不可能だったかもしれない」との見解を示した。