カタールW杯から1年、大会が残したもの アラブ諸国に連帯感も【再掲】
発信地:ドーハ/カタール
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■カタール批判が生むアラブ諸国の連帯
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は11月、雇用に関する法律の改正は進まず、労働者の権利侵害が続いているとカタールを非難した。
これに対してカタール政府の国際メディア局は、W杯をきっかけとして国内の労働改革は加速し、大会は「持続するレガシー」を残したと反論。アルジャシム氏も、W杯をめぐる批判は「われわれがW杯のような大会の主催者にふさわしくない」と考える人々による「カタールへの攻撃にすぎない」と一蹴した。
中東情勢に詳しい英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のヒシャム・ヘリヤー(Hisham Hellyer)氏は、そうした批判はカタールを標的とした攻撃とみなされ、中東地域におけるカタールのイメージや立ち位置を向上させていると指摘する。カタールがアラブ国、イスラム教国であることへの反対活動という枠組みで捉えられ、「世界中のアラブ人やムスリムがカタールのために団結するようになる」というのだ。
先述の政治とスポーツの専門家も、批判の影響でカタールの地域内での評価は高まり、2017年から2021年まで国交を断絶していた隣国サウジアラビアとの関係も改善していると話している。
「サウジアラビアがアルゼンチンを破った後、カタールの首長がサウジのスカーフを着けたり、誰もがモロッコを応援したりしているのを見れば、W杯のおかげで『汎アラブ主義』の再興とも呼べるものにつながったと思う」 (c)AFP/Callum PATON