■新規投資

 ハノイを拠点とする計画投資省外国投資庁(FIA)によると、ベトナムは今年1~8月で前年同期比8%増以上となる180億ドル(約2兆6600億円)相当のFDIプロジェクトを誘致した。

 フォックスコンは6月、北部の新工場で電気自動車の充電機器を生産する計画を発表した。外資系企業最大のサムスンも昨年、約2億2000万ドル(約325億円)を投じた東南アジア地域で最大規模の研究開発センターを開設した。

 こうした中、FIAのグエン・アイン・トゥアン副長官は、外国人投資家の関心の高さがプレッシャーになっていることを認めた。「こうした機会をどう生かすべきか?」

 同氏によるとベトナムは現在、情報技術、半導体、エネルギーなどの分野を中心に、より高度な技術を持つ労働力の育成に注力している。また域内での競争力を維持しつつ、FDI参入を円滑化することにも重点を置いている。

 ただしベトナムの若年層では給与上昇への期待が高まっていることもあり、「安価な労働力の提供はもはや目指していない」と付け加えた。これは米国による関税賦課と製造価格上昇の両面から、中国に代わる選択肢を模索する企業にとっては問題となるかもしれない。

 ベトナム駐在歴10年以上というヒソン電子のコ氏によると、同社はベトナムでの生産体制増強についてまだ決めかねているという。ベトナムの若年人口の多さは魅力的だが「外国投資家の要求を満たす」ためには、適切なトレーニングが不可欠になると話した。(c)Alice PHILIPSON