【9月24日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は今月ベトナムを訪問し、過度な中国依存からの脱却を視野に経済関係の強化を図った。しかし、ベトナムは脆弱(ぜいじゃく)なインフラと高度技能労働者の不足が足かせとなり、中国の代わりにはそう簡単になれないかもしれない。

 米中間の貿易摩擦など地政学的リスクが高まる中、アップル(Apple)のサプライヤーであるフォックスコン(Foxconn)、サムスン(Samsung)など世界の大手企業にとってベトナムの重要性は増している。

 近年、世界経済を揺るがしているサプライチェーンの不安定化もあり、すでに多くの企業が「チャイナ・プラスワン」戦略の一環としてベトナムに進出している中、米政府も中国依存脱却を目指し、ベトナムを重要なパートナーとして見るようになった。

 しかし、ベトナムで悩ましいことの一つが、熟練エンジニアの不足だ。

 韓国ヒソン電子(Heesung Electronics)はベトナム北部の港湾都市ハイフォン(Haiphong)の工業団地で、韓国LG系の自動車用ディスプレー部品を製造している。

 韓国の研究開発センターをベトナムに移転する計画もあるが、現地法人代表のコ・テヨン氏は「人手不足が予想される」と話す。「外国投資はハイテク産業に集中しているが、エンジニア養成機関が絶対的に足りない」

 衣料品や単純な電子部品の製造ならば、ベトナムにも優秀な人材がたくさんいる。だが世界的大手企業は、バリューチェーンがシフトするとともにベトナムは問題に直面するとみている。

 在ハノイ米国商工会議所のアダム・シトコフ(Adam Sitkoff)会頭はAFPに「ベトナムは製造業にとって格好の場所」だとしつつ、「ただし今後も投資を誘致し、富の機会と経済成長を生み続けるにはさらに力をつける必要がある」と語った。

 ベトナム労働省によると、全労働人口のうち高度技能労働者は約11%、学位や資格を保持する労働者は26%にとどまっている。