深海採掘の影響、「数十年」にわたり顕在化 研究
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【3月27日 AFP】40年以上前に海底に刻まれた深海採鉱の跡に生命が戻った最初の兆候を確認したとする研究が26日、科学誌「ネイチャー」に発表された。研究は一方で、完全な回復は「不可能」かもしれないと警告している。
科学者や活動家らは長い間、将来の産業レベルの採掘が海洋生態系を脅かすと主張してきた。
リスクは、種の絶滅から海洋食物連鎖へのダメージ、地球温暖化の原因となる炭素を蓄えている堆積物をかき回すことにより気候変動を悪化させる可能性まで多岐にわたる。
研究では、英国の研究チームがクラリオン・クリッパートン海域にある最も古い採掘跡の一つが及ぼす永続的な影響を評価した。
深さ4000メートル以上にあるこの海底には、ノジュール(団塊)と呼ばれる金属を豊富に含む岩石が点在し、科学的にほとんど明らかになっていない奇妙で珍しい生物が多数存在している。
1979年にクラリオン・クリッパートン海域で行われた実験では、採掘機によって海底から広い帯状にノジュールが取り除かれ、8メートル間隔の溝が残された。
2023年に研究チームが現場を調査し、海底にこうした跡がはっきりと残っていることが確認された。
論文の筆頭著者、英国立海洋学センターのダニエル・ジョーンズ氏は、「跡の中では多くの生物の数が減っていたが、生物学的再生の最初の兆候が見られた」と指摘。
跡では小型で動きが活発な生物が見られたが、大型で海底に固着した生物は依然として「非常に珍しい」と続けた。
著者らは、海洋生物への影響を抑えるためにもっと近代的な装備を設計できるだろうが、採掘作業が進められた場合の規模から判断すると、「採掘による目に見える物理的影響は少なくとも数十年続くと推定される」と指摘。海洋生物の生息地であるノジュールが取り去られると、影響を受けた地域での生物の完全な復活は「不可能かもしれない」と付け加えた。(c)AFP