【3月27日 AFP】中国の大学の医師団が26日、遺伝子組み換えされたブタの肝臓を脳死状態の人間に初めて移植したと発表した。

ブタは臓器ドナーとして有望視されており、過去数年間に米国の複数の生存患者に腎臓や心臓が移植された。ただ、心臓のように単に血液を循環させるだけではなく、複数の異なる機能を果たす肝臓の移植は難しく、これまで人間の体内で試験されたことはなかった。

しかし、西安の空軍軍医大学(第四軍医大学)の医師団は、英科学誌ネイチャーに掲載された論文で、移植されたブタの肝臓が機能したことを明らかにした。

移植は昨年3月10日に実施。同大の付属病院で、6個の遺伝子が組み換えられたミニブタの肝臓が脳死状態の成人に移植された。家族の要請により、移植は10日で終了した。

患者の氏名、性別など詳細は公表されていない。患者自身の肝臓は温存されており、ブタの肝臓は「補助臓器」として移植された。

医師団は10日間にわたり、移植された肝臓の血流、胆汁の生成、免疫反応など重要な機能について観察した。

論文の共著者、王琳教授は記者会見で、ブタの肝臓は「非常に良好に機能した」とし、「胆汁をスムーズに分泌」し、主要なタンパク質であるアルブミンも生成したと述べた。

他の研究者らも成果を評価する一方で、現在の初期段階では、ブタの肝臓がヒトの肝臓の代替として機能するかを判定することはできないと強調している。(c)AFP/Daniel Lawler