【3月26日 AFP】カナダ人のロザリー・コートさんとその両親は、過去25年間、毎年夏に米国のメイン州で休暇を過ごしてきた。しかし、今年は国内で過ごすことを決めた。理由は、ドナルド・トランプ米大統領がカナダを51番目の州にする意欲を示し、高関税を発動したことに対する憤りだ。このため、コートさんは他の多くのカナダ人と同様に、米国行きをキャンセルした。

米国はカナダ人観光客にとって最も人気のある旅行先だ。昨年、2040万人のカナダ人が米国を訪れ、米国旅行協会によると、その旅行は米国経済に約205億ドル(約3兆円)の利益をもたらし、14万人の雇用を支えた。

しかし、トランプ氏の「米国第一」の政策が影響し、カナダ人が米国への旅行計画をキャンセルする事例が増えており、今年は大幅に増加する見込みだ。

コートさんは「米国の支えになりたくない。これは信条の問題だ」と述べた。

このような考えを持つカナダ人は少なくない。世論調査会社アバカス・データの最近の調査によると、カナダ人の56%が米国への旅行計画を変更またはキャンセルしたと回答した。

退任間近のトランプ政権から高関税をかけられたジャスティン・トルドー前首相は、愛国心を示すために国内で旅行するよう国民に呼びかけた。さらに「カナダを選ぼう」という動画がSNSで急速に拡散され、西部の雄大なロッキー山脈や、ルーシー・モード・モンゴメリの小説『赤毛のアン』の舞台となったプリンスエドワード島などを旅行先としてPRする動きが広まった。

旅行代理店によると、カナダ人の旅行先は米国から欧州、カリブ海、中米、またはカナダ国内にシフトしている。

カナダのフレア航空は、米国内へのフライト需要が減少したため、メキシコ、ジャマイカ、ドミニカ共和国行きの便を増便した。

観光学の教授ミシェル・アルシャンボー氏は、このような傾向により「カナダ人の国内旅行は今年、記録的なレベルに達するだろう」と予測している。また、調査によると10人中6人が国内での休暇を計画しており、異例の事態だと付け加えた。(c)AFP