【3月2日 AFP】ウクライナで、ロシアのために戦っているネパール人傭兵(ようへい)がいる。彼らはロシアのパスポートと報酬欲しさに故郷を後にするが、負傷した兵士たちは「来るな」と同郷人に警告している。

 傭兵に採用されれば、ネパールでの年収の2年分を1か月で稼げる。ただし条件は過酷で、死傷者も多い。

「戦友が目の前で死ぬのを見た」と、スリヤ・シャルマ(24)は話した。法的な理由から、名前は仮名だ。

「ネパール人には戦争がどれほど恐ろしいか、おそらく想像すらつかないだろう」

 ロシア軍によって基本的な訓練を施された直後、ウクライナ東部の前線に向かう途中で、部隊は攻撃にさらされた。「爆弾と銃弾の雨の中、これでもうおしまいだと思った」

「死ぬために行ったようなものだ」と言う。

 ヒマラヤ山脈(Himalayas)に囲まれ、極めて貧しい国であるネパールは、国外の戦争に従軍する勇猛な兵士を長く輩出してきた。中でも、英国軍に属するグルカ(Gurkha)兵が有名だ。

 ただし、外国軍に傭兵として応募することが合法となるのは、英国やインドとのように、政府間で取り決めがある場合に限られる。

 一方、ロシアはウクライナとの戦争で、早い時期から傭兵を活用してきた。昨年6月に反乱を起こす前の民間軍事会社ワグネル(Wagner)もそうだ。

 ロシアもウクライナも、どの程度の規模の外国人部隊を自国軍に組み入れているか公表はしないとみられる。捕虜の人数も明かされることはない。

 一方、ネパール政府は、2年前のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、200人超がロシア軍に登録されたと公表している。

 シャルマは、実際の人数はその10倍の可能性があると考えている。傭兵となるのは学生や元兵士。毛沢東主義派の元戦闘員もいる。

 シャルマは、「私たちが参加したのは早い時期だった。今では2500~3000人のネパール人がいるのではないか」と語った。