【2月10日 AFP】ロシア人外科医、アンドレイ・ボルナ氏(61)が祖国に対して以前から感じていた不信感は、ウクライナ侵攻によって決定的なものとなった。

 ボルナ氏は妻と3人の子どもを連れて車に乗り、エストニア国境に並んだ。モスクワでの快適な生活を捨て、ウクライナ人を助けるために整形外科医としての技術を生かそうと決意した。

 ウクライナの首都キーウにある陸軍病院でAFPの取材に応じたボルナ氏は「何より道徳的、倫理的な選択だ。より早くウクライナが勝利できるよう、可能な限り自分たちの役割を果たしたい」と語った。「ウクライナの示す条件で終結して初めて、われわれの人生もこの戦争から解放されるだろう」

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がウクライナ侵攻を開始した2022年2月以降、弾圧や徴兵制を恐れた多数のロシア人が国外へ脱出した。

 ボルナ氏のように家族のルーツがウクライナにあるロシア人は、ロシア軍を相手に最前線で戦うなど、自分にできる形でウクライナ側に協力するようになった。