【1月23日 CNS】人工知能(AI)技術の発展に伴い、ロボット産業、特にエンボディッドロボットは急速に発展している。

 このほど、グーグル(Google)の親会社アルファベット(Alphabet)傘下のAI開発企業ディープマインド(DeepMind)チームとスタンフォード大学(Stanford University)の中国系チームなどが共同で開発した、料理や家事ができる汎用ロボット「Mobile ALOHA」がSNSで話題になっている。これまでの産業用ロボットとは異なり、「Mobile ALOHA」は両手の動作に移動性と器用さを兼ね備え、水やり、皿洗い、椅子の配置だけでなく、ひげそりさえもできる。

 ヒューマノイドロボット産業はAI生成コンテンツ(AIGC)の波に乗り、数千億ドルの市場が期待できる。

 米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の分析によると、未来の10〜15年で、ヒューマノイドロボットの市場規模は少なくとも600億ドル(約8兆8848億円)に達し、最も理想的なシナリオにおいては、2035年に1540億ドル(約22兆8043億円)になると予想する。

 中国も、産業用ロボット特にヒューマノイドロボットの開発を加速している。2023年10月、中国工業・情報化部は『ヒューマノイドロボットのイノベーション発展に関する指導意見』を通達した。2025年までにヒューマノイドロボットのイノベーション体制をほぼ構築し、「大脳、小脳、四肢」などの複数の重要技術がブレイクスルーを遂げ、コア部品の安全で効果的な供給を確保することを打ち出した。2-3社のグローバルな影響力を持つエコシステム型企業と複数の「専精特新(専門性・精密化・特徴化・新規性)」中小企業を育成し、2〜3か所の産業発展集積エリアを形成するという。

 近年、中国のヒューマノイドロボットの競争は激しくなっている。「ヒューマノイドロボット第一株」の「優必選科技(UBTECH)」はこのほど香港証券取引所に上場し、90後(1990年代生まれ)のテクノロジーブロガーで、元「華為技術(ファーウェイ、Huawei)」の「天才少年」彭志輝(Peng Zhihui)さんが設立した「智元機器人(Agibot)」が話題となっている。

 チューリング賞受賞者で中国科学院の姚期智(Yao Qizhi)院士は、未来の汎用人工知能(AGI)は具現化した実体を必要とし、現実の物理世界との相互作用により各種のタスクを完成させることで、真に大きな価値を産業にもたらすことができると述べている。

 姚院士は、エンボディッドロボットは現在四つの課題に直面していると指摘している。第一に、ロボットは大規模言語モデル技術のように基本的な大規模モデルを搭載できず、最下層の制御はできない。第二に、計算能力に課題がある。第三に、ロボットのマルチモーダルな感覚認識の全体的な統合における多くの問題がいまだ解決されていない。第四に、ロボット開発は多くのデータ収集を必要とし、その中には多くの安全性やプライバシーなどの問題も含まれているのだという。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News