【1月17日 CGTN Japanese】北京インターネット裁判所はこのほど、「人工知能(AI)生成画像」の著作権関連の訴訟の一審判決を言い渡しました。同件は中国初の「AI生成画像」の著作権についての訴訟です。

 李さんはAI画像生成ソフトで「春風から優しさが送られてきた」と題するAI生成画像を作成して、SNSに投稿しました。その際には「AI生成画像」などと明記しました。次に劉さんがこの画像を使って自分の詩と文章を添えてネット上で公開したのですが、劉さんは原画にあった著作を示す透かしを表示しませんでした。李さんは、このように自分の成果を直接使用することは、自身の氏名表示権と情報ネットワーク伝達権を侵害したとして訴訟を起こしました。

 裁判所は、被告が許可なくこの画像を自分のアカウントに掲載したことは、原告が有する情報ネットワーク伝達権の侵害に該当すると判断しました。また透かしを除去する行為は、原告の氏名表示権の侵害と認めました。

 裁判官は取材に対して、「AI画像生成ソフトを利用して画像を生成した場合、人による独創性が示されていれば著作物と認定され、著作権法の保護を受けることになる」と説明しました。

 中国ソフトウェア評価センターAI研究評価事業部の庄金鑫マネージャーは、「AIによるコンテンツ生成は新たな事象であり、一部の明らかな権利侵害行為に対しては最低ラインを設定せねばならない。教師データの著作権コンプライアンスやAIが生成した作品の著作権享有のための独創的な要件、さらに著作権の帰属の認定といった重要な問題について、政策法規による指導を早急に行う必要がある」と述べました。

 中国情報通信研究院知的財産権と革新発展センターの李文宇主任は「AIにより生成された著作物のすべてが著作権の保護対象になるわけではない。中国の(現行の)著作権関連の法律規則に従って、AIにより生成されたコンテンツが著作物に該当するか否かを客観的に判断すべきだ」との考えを示しました。

 中国では2017年7月に「次世代人工知能発展計画」が発表されました。同計画は、「AIの法律法規、倫理規範と政策体系を構築し、AIの安全評価と管理制御の能力を形成する必要がある。AI関連の法律、倫理、社会問題を掘り下げて研究することで、スマート社会のために法律と倫理道徳についての境界を定めるべきだ」と指摘しました。中国国家インターネット情報弁公室など7部門は先ごろ、「生成人工知能サービス管理暫定方法」を共同で発表して、AIの管理体系をさらに整備しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News