■「報復戦争」

 オールさんは、ミトニックさんと同じく収監を覚悟している。今回の武力行使を「報復戦争」と呼んだミトニックさんには、30日の拘禁が言い渡された。これは、兵役拒否で一般的に科される収監期間よりも長い。

 メサルボットによれば、通常なら、政治的信条から兵役を拒んだ場合、まず最大10日間収監される。その後も拒否を続けた場合にのみ、期間が延長される。

 メサルボットには数十人のメンバーが所属している。しかし、リフューズニクであることを公表していない人も多く、実際の数は正確には分かっていない。AFPでは軍にデータの提供を求めたが、回答は得られなかった。

 メンバーの一人、イッド・エラムさん(17)は英スカイニュースに対し、「一つの殺りくによって別の殺りくが正当化されるわけではない」と語った。エラムさんも、兵役を拒否する予定だという。

■道徳的な沈黙

 パレスチナとの共存を願うリフューズニクのようなイスラエルの平和主義者は、ガザでの停戦を求めて抗議デモを行ってきた。

 デモでは超愛国主義者からの妨害や警察の横やりが入る。近年、右傾化が進んだイスラエルでは、平和主義者はマイノリティーなのだ。世論調査では、パレスチナとの和平交渉や「二国家解決」への支持が限定的であることが示されている。

 イスラエルの左翼系日刊紙ハーレツに寄稿したコラムリストのギデオン・レビー(Gideon Levy)氏は「将兵、パイロット、砲兵…誰一人として『もう十分だ。これ以上の殺りくには加担しない』と言った者はいない」とし、そうした沈黙は「道徳的盲目」の表れだと指摘した。

 オールさんは、自身の兵役拒否について、人間として存り続けるための闘いと考えている。

 ハマスによる昨年10月7日の奇襲を受け、オールさんは怒りを覚えた。襲撃された音楽祭の会場で知り合いが殺害されたためだ。

 しかし、パレスチナ自治区ガザ(Gaza)へのイスラエルによる報復行為という「惨事」についても不安がよぎったという。

「極度の暴力は極度の暴力を招くだけだから」 と、オールさんは話した。(c)AFP/Anuj CHOPRA