【12月28日 東方新報】中国は14日、中国北西部のゴビ砂漠(Gobi Desert)にある酒泉衛星発射センターから運搬型ロケット「長征2号F(Long March-2F)」を打ち上げ、再利用可能な実験宇宙船を軌道に乗せた。

 15日夜のニュースリリースによると、実験機は一定期間軌道上に留まり、その後中国国内のあらかじめ設定された着陸地点に戻る予定だという。

 同センターの紹介によると、軌道飛行の間、再利用可能な技術と宇宙科学実験を検証することが今回の任務で、これらはいずれも宇宙の平和利用のための技術支援に用いられるという。

 ミッションや宇宙船の詳細情報、ロケット打ち上げの写真や地上管制室内の様子については公表されていない。

 中国の初回の軌道実験は2020年9月に行われ、実験機は2日間近く軌道上を航行した。2回目の実験は22年8月に開始され、宇宙往還実験機は2023年5月に着陸するまでの276日間、地球周回軌道を航行した。

 同センターは「2回目の実験の成功は、中国の再利用可能な宇宙船技術における大きなブレークスルーを意味するもので、地球と宇宙を行き来する便利で手頃な方法を提供することを目的としている」と説明している。

 過去2回の実験は、どちらも酒泉衛星発射センターから「長征2号F」で打ち上げられた。

 現在、再利用可能な宇宙船を保有しているのは中国と米国だけだ。再利用可能な宇宙船構想の象徴だった米国の有人宇宙船「スペースシャトル(Space Shuttle)」は、技術的・財政的な問題から2011年に引退するまで30年間運用された。

 近年、科学技術の進歩により、宇宙産業界では再利用可能な宇宙船、特にボーイング(Boeing)X-37Bのような、より小型かつ安価で、設計・製造・運用が簡便なロボットスペースプレーンへの熱い期待が高まっている。

 専門家によれば、再利用可能な宇宙船は、民間人向けの宇宙ツアー、宇宙飛行士の輸送、宇宙ステーションへの補給、また従来の方法よりも低コストで衛星を軌道に乗せるなど、幅広い用途に使われるという。

 14日の打ち上げは、中国の有人宇宙船「神舟(Shenzhou)」の打ち上げに使用される長征2号F型ロケットの22回目の飛行だった。このロケットの地球低軌道への輸送能力は8トン強である。(c)東方新報/AFPBB News