【1月1日 AFP】打球がバウンドする音やコーチたちの指導する声がコート中に響き渡る――。ここはスペイン・マヨルカ(Mallorca)島にある「ラファ・ナダル・アカデミー(Rafa Nadal Academy)」。男子テニスのスター選手、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal)が夢を形にし、故郷と競技に残す次世代の選手の「養成所」だ。

「これは現役生活が終わった後も競技に関わり続けるためにと、ラファエルと彼の父が考えたアイデアだ」。そう明かすのは、ナダルの叔父で元コーチのトニ(Toni Nadal)氏。現在はアカデミーでディレクターを務めるトニ氏は「思っていたより、キャリアは長続きしているが」と言って笑みを浮かべた。

 四大大会(グランドスラム)通算22勝を誇るナダルは現在37歳。昨年5月に2024年シーズン限りで引退する意向を発表した場所もこのアカデミーだった。

 ナダルは地元マヨルカ島に造ったこのアカデミーに頻繁に姿を見せる。けがからの復帰に向けた準備もアカデミーのコートで行い、生徒たちとラリーを楽しむこともあった。

 トニ氏によれば、「(ナダルは)定期的にコーチ陣と話し、自分のビジョンを説明している。ここでいつもトレーニングしたり、生徒たちと練習したりしている。彼らに自分のやり方を教え、アドバイスをしている」そうだ。

 アカデミーの元生徒で、2021年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2021)男子ジュニア部門で優勝した20歳のダニエル・リンコン(Daniel Rincon、スペイン)は「彼と何度も一緒にプレーできたのは本当に幸運だった」と振り返る。

「すごく力になってくれた。彼は休憩時間やトレーニング中にも、僕らを助けようとしてくれる」とリンコン。「彼が話しかけてくれるのは、僕らにとって本当に大きなことなんだ」と感謝した。

 全仏オープン(French Open)で2度の準優勝を経験しているキャスパー・ルード(Casper Ruud、ノルウェー)も、まだ世界ランキングで100位以内に入っていなかった19歳のときに、このアカデミーでトレーニングを積んだ一人だ。