【12月17日 AFP】アルゼンチン政府はこのほど、経済危機からの脱却に向けた「ショック療法」の一環として、通貨ペソの対ドル相場を約50%切り下げた。それを受け、スーパーマーケットの従業員マリア・ママニさんは、新価格が書かれたシールを手に店内を回った。

 アルゼンチンでは13日、消費者物価上昇率が前年同月比約160%に達した。ママニさんはAFPに対し、「政府の対策導入後、値段を引き上げている」と話した。

「多くの商品が高騰し始めていて、残念なことにそれは6~12カ月続く可能性がある」

 別の店のミゲルさんは、値上げは20~60%、物によっては2倍に跳ね上がっていると語った。ミゲルさんは名字は明かしたくないと言った。

「客に価格転嫁せざるを得ない。他に選択肢はない。来週ももう一段の値上げとなるだろう」

 10日に就任したハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領は、経済危機は緩和に向かう前に一段と深刻化する公算が大きいと語っている。

 経済立て直しに向け、政府は12日、一連の対策を発表した。マヌアル・アドルニ大統領報道官は、「ひん死の状態での集中治療」とたとえた。

 対策としてはペソ切り下げのほか、交通機関・燃料補助金の削減などが打ち出された。新規の公共事業は停止され、政府広告も全面的に停止される。

 目標は歳出を250億米ドル(約3兆5500億円)相当、率にして国内総生産(GDP)の5%削減することにある。経済規模で中南米第3位のアルゼンチンは、慢性的に財政赤字を抱えており、それを改善するのが狙いだ。