■「購買力を破壊」

 ミレイ大統領は11月に行われた大統領選で、債務や紙幣の増刷、インフレ、財政赤字など、数十年間にわたり繰り返された経済危機への怒りを追い風に勝利。

 新政権は、これまでの政権が政策運営を失敗してきた結果、アルゼンチンはハイパーインフレ寸前、完全な「金欠」状態にあると繰り返し喧伝(けんでん)している。

 しかし、ミレイ大統領は、貧困層に対する福祉政策は維持するとの公約に沿う形で、子ども手当てを増額、食事補助券の支給額も50%引き上げた。

 国際通貨基金(IMF)は緊縮策を歓迎。それに対し、アルゼンチン労働総同盟(CGT)は「国民に対する重荷」だとして反発している。

 CGTは、各種の削減措置により「数百万人の国民が社会・経済的な窮状」に置かれ、「購買力は破壊される」だろうとしている。

 2001年のアルゼンチン経済のメルトダウン(破綻)を機に毎年行われているデモが来週、挙行される予定だ。ミレイ大統領としては、就任後初めて、街頭からの洗礼を浴びることになる。2001年にはデモが暴徒化し、約40人が死亡している。

 誰もが耐え忍べるわけではない。

「あちこち移動したり病院に行ったりする」ためにバスを利用しているというロサ・カバニジャスさん(66)にとって、「バス料金の値上げは不安」だ。「良いことだとは思えない」と話した。(c)AFP/Fran BLANDY