【11月28日 CNS】最近、55歳の「デリバリー詩人」王計兵(Wang Jibing)さんの詩集『我笨拙地愛著這個世界(訳:この世界をぎこちなく愛している)』が話題になった。ショート動画の助けを借り、この詩集は1日も経たずに2000部以上売れた。
  
 王さんは江蘇省(Jiangsu)邳州市(Pizhou)出身で、現在は家族と共に蘇州市(Suzhou)昆山市(Kunshan)で暮らしている。彼にとって2023年は、豊穣の1年だと言える。彼は中国作家協会(Chinese Writers' Association)の会員になり、江蘇省第8回紫金山文学賞を受賞した。1年で2作の詩集を出版し、販売数は10万部を超えた。   

 11月11日、記者は昆山市で王さんに会い、彼の創作とデリバリーの物語を聞いた。

 記者:王さんは1年間で2作の本を出版した。1作目は『趕時間的人(訳:急いでいる人趕時間的人)』で、2作目は『この世界をぎこちなく愛している』だが、これら2作の詩集は主に何について書かれているのか?

 王:『急いでいる人』は三つの部分の構成となっている。私のデリバリー経験、私と両親との感情、私のこの世界の観察について書かれている。『この世界をぎこちなく愛している』の完成には、1年もかからなかった。これは全く新しい作品で、自分自身の創作の技法を突破する試みでもあった。2作の本には重複する内容は一つもない。

 記者:これら2作のこれまでの売れ行きや収益はどうか?

 王:これら2作の本の総販売数はオンラインで10万部を突破した。本の売り上げ収益は、私がデリバリーで得た収益をはるかに上回っている。私の副業を主業に、主業を副業に変えていけるのはとても嬉しい。

 記者:あなたはよく昆山から上海までの配達の注文を受けると奥さんから聞いたが、このような長距離の注文は多いのか?

 王:毎月、3〜5件を受けている。私は特にこのような超長距離の注文が好きだ。帰り道では完全にリラックスでき、それは私にインスピレーションを与えてくれる最も集中できる時間だからだ。それに、特に知らないルートを選ぶのも好きだ。方向さえ間違っていなければ、必ず原点に戻れるからだ。私はこの状態を「飛行」と呼んでいる。私の3作目の本のタイトルは『低処飛行(訳:低空飛行)』で、それはまさに私の心の中の感情から来ている。

 記者:あなたのこれからの計画について聞かせてほしい。引き続き、詩を書き続けるつもりなのか、デリバリーを続けるつもりなのか?

 王:私が昆山にいて、他のことで邪魔されることがなければ、デリバリーを続けるつもりだ。私はデリバリー配達員として皆さんの視野に入ってきた者なので、皆さんを失望させたくない。他方、執筆は私が一生追求することで、今後も続けていくつもりだ。  
 
 私は3作目の詩集をほぼ完成させ、来年5月に出版見込みだ。それはデリバリー配達員についての詩集だ。配達員の人たちを皆さんに紹介し、全面的に理解してもらいたい。日常生活で感じたこと、考えたこと、何が起こったのか、私たち配達員は何に喜び、何に苦しむのかについて書いている。この詩集でデリバリー配達員と皆さんとの距離を縮めることができればと思う。(c)CNS/JCM/AFPBB News