【11月19日 CNS】昨年の冬、囲炉煮茶(七輪を囲んで楽しむお茶)がSNSのトップストリームとなったが、茶系飲料業界のトレンドの変化は非常に早い。今年の秋の終わりには、囲炉缶々茶(七輪を囲み粗陶器で楽しむミルクティー)という新たな「楽しみ方」がSNSで人気を博し始めており、今冬のトレンドになりそうだ。

 囲炉缶々茶の人気の理由は、単においしいからだけではない。囲炉煮茶のときと同じように、囲炉缶々茶の人気を語るうえで、その背後にある社交機能は避けられない。

 江蘇省社会科学院の趙偉(Zhao Wei)副研究員は、主に以下の理由があると見ている。一つ目は、囲炉缶々茶も囲炉煮茶と同じく、現在の若者の美的嗜好に合致しているということだ。「現在の若者は、中国の伝統文化の色彩を持つ、新たな中国風の新しい事物に対して情熱を持っている」。また、囲炉煮茶によく使われるガラスのティーポットと比べると、囲炉缶々茶の器具も若者を惹きつける一因かもしれない。缶々茶の急須の作りにはよく粗陶が使われ、手作り製品の粗さが美しさを感じさせ、一部の急須には特別なデザインが施されている。

 二つ目の理由として、囲炉缶々茶のヘルシーな要素も若者を惹きつける一因だ。中国国営新華社(Xinhua)通信のウェブサイト「新華網(Xinhuanet)」が発表した『Z世代栄養消費トレンドレポート』によると、養生志向の消費者に占める割合のうち、18歳から35歳の若者層が中高年を上回り、全体の83.7パーセントを占めるようになったという。これで、缶々茶にクコの実やナツメがたっぷり入っている理由が分かる。ベテランの養生志向の愛好者たちにとって、缶々茶は単にミルクティーの味がするだけでなく、健康食品にもなっているのだ。

 三つ目の理由として、ソーシャルやオープンチャットという観点から見ると、美しい写真を撮ってSNSに投稿するのに便利であるほか、囲炉という形式は消費者に美しい文化的なレジャーライフの実現の方法を提供している。これがいわゆる「雰囲気」だ。明らかに素朴な商品だが、雰囲気が加わると一気に高級感が出てくる。囲炉缶々茶のセットメニューは300〜400元(約6232〜8310円)で売られており、その秘密はまさにここにあるのだろう。

 囲炉煮茶の流行は半年ほどに過ぎなかったが、その人気はすぐに消えてしまった。囲炉缶々茶も同じ道をたどるのだろうか?

 趙副研究員の見解では、囲炉缶々茶も同様の道をたどる可能性が高いとのことだ。「実際、これらの新たな楽しみ方には人々の感情の投影や想像が含まれており、消費体験が終わった後には欲求も満たされてしまうため、より強く、持続的な消費行動にはつながらないだろう」と、趙副研究員は述べた。

 囲炉缶々茶という新たな楽しみ方、形式も「注意経済(attention economy)」の一部であり、新鮮かつ面白いことが美味しいことよりも重要だ。にもかかわらず、趙副研究員は「それが人びとに素晴らしい思い出やリラックスしたという楽しい感情をもたらせば、それは十分に価値がある」と述べた。(c)CNS-揚子晚報/JCM/AFPBB News