【10月24日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク(Volker Turk)高等弁務官は23日、イスラム組織ハマス(Hamas)とイスラエルの戦闘について、「即時の人道的停戦」を呼び掛けた。

 ターク氏は声明で、「第一に求められるのは即時の人道的停戦だ。人道支援を迅速かつ効果的に行って市民の命を救うことが急務だ」と強調。「この暴力は、指導者が立ち上がり、勇気ある人道的な選択をしない限り決して終わらない」と述べた。

 ガザ地区は支援物資を必要としているが、停戦の可能性について国際社会の動きは一致していない。

 イスラエル当局は、ハマスの攻撃で民間人を中心に少なくとも1400人が死亡したと発表。報復としてガザ地区への水、電気、燃料、食料の供給を遮断している。一方ガザの保健当局は、イスラエルの報復爆撃に伴う死者が5000人を超えたと明らかにした。

 ターク氏は、「敵対行為の結果として、双方であまりにも多くの市民の命が失われた。その多くは子どもたちだ」と指摘。「何かを変えない限り、今後数日のうちに爆撃が続く中でさらに多くの市民が死の淵に立たされることになる」と訴えた。

 欧州連合(EU)は26日から首脳会議を開くが、ジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(外相)はこの日、会議ではガザへの支援物資搬入を可能にする「人道的な戦闘中断」案が支持されるだろうとの見通しを示した。

 ボレル氏は、国連(UN)が提唱する「人道的停戦」案に比べ、「戦闘中断」の方が難易度は低いだろうと語った。

 ただ、あるEU当局者は匿名で、加盟27か国の間で意見は一致していないと指摘した。

 パレスチナ情勢をめぐっては、EUは以前から一枚岩とは言い難い。ハマスへの非難は広がっているが、ガザへの援助物資供給を拡大すべきだとの声や、イスラエルによる作戦停止を求める意見もある。

 一方、イスラエルと同盟関係にある米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領はこの日、記者団に対し、「人質解放が先で、話し合いはその後だ」と述べ、ハマスがイスラエルから拉致した人質全員を解放した場合にのみ、停戦交渉は可能となるとの考えを示した。(c)AFP