【10月14日 AFP】英イングランド中部バーミンガム(Birmingham)近郊タムワース(Tamworth)のナイトクラブで先月、ビートボックスの大会が開かれ、国内外から集まったビートボクサーがスキルを披露した。新型コロナウイルスの流行後、初めて新顔のビートボクサーが集結する機会となった。

「ニュー・アーバン・エラ・ビートボックス・バトルズ(New Urban Era Beatbox Battles)」の大会を企画したビク・ブラウンさんは「大勢の人がオンラインでバトルを始めたが、(新型コロナ対策の)ロックダウン(都市封鎖)も終わり、ビートボックス・シーンに参入してこの世界を楽しみ始めている」と話した。

「さまざまな国から集まっている。ビートボックスのコミュニティーがまた一つになった」

 打楽器やドラムマシンの音やリズムを声で表現するビートボックスは、何世紀も前からさまざまな文化や形態で行われてきた。1970~80年代に米ニューヨークでヒップホップの台頭に伴う要素として登場し、メインストリームのカルチャーに浸透していき、ビートボックス自体で独立したアートの形態となった。

 今日、ビートボックス界をリードしているのはフランスだが、英国では独自の音楽的ルーツが採用されている。

 イベント主催者の一人で、Abhのビートボクサー名で活動しているアレックス・ハケットさん(30)は「ガラージ、ドラムンベース、グライムなどは英国発祥だ。そのため、UKビートボックス・シーンにはこうした音楽スタイルが取り入れられている」と説明した。

 ルーク・チョン(ビートボクサー名はHandfx)さんはシンガポール出身だ。故郷から遠く離れた英国でのイベント出演は勉強になったという。

「たくさんの人に会えて、たくさんのテクニックやスキルを学ぶことができた」と語った。

 ロンドン出身のトミー・ルイス(ビートボクサー名はTmy)さんは、ビートボックスは「他の物を必要とせずに、(パフォーマーの)内側にある創造的なエネルギーを出し切る」ことができる音楽スタイルだと説明。

「ビートボックスに限界はない。これからも成長し続ける」と話した。

 ビートボックス界は圧倒的に男性が多い。ブラウンさんは、男女格差について英国のビートボックス界は「是正に取り組み続けていくはずだ」と主張する。

「女性のビートボックス界は規模が小さく、これほど男性中心だと肩身が狭いかもしれない」とした上で、「英国には非常にうまい女性のビートボクサーが何人もいるが、人数が少ないために引っ張りだこで、ブッキングが難しい」と説明した。

 映像は9月23日撮影。(c)AFP/Julie EZVAN