【9月20日 東方新報】2023年9月19日から20日にかけて、第1回ゴールデンパンダ賞(Golden Panda Awards)の選考活動がジャイアントパンダの故郷である中国・成都市(Chengdu)で開催される。このイベントでは、映画やテレビドラマ、ドキュメンタリー、アニメーションの4大部門で25の賞を選出する。

 全世界から集まった7000点以上の映像作品から頭角を現したのは、日本のTBSのオリジナルドラマ『俺の家の話』(2021)だった。ドラマに出演した西田敏行(Toshiyuki Nishida)氏が最優秀助演男優賞にノミネートされた。

『俺の家の話』は、一世を風靡(ふうび)したプロレスラー、観山寿一(Jyuichi Miyama)(長瀬智也<Tomoya Nagase>演)が、父親の観山寿三郎(Jyusaburo Miyama)(西田敏行演)が危篤になったと聞き実家に戻り、弟妹たちと一緒に父親の看病をどうするのか話し合うところから始まる喜怒哀楽の物語を描いている。

 ドラマでは、父親の寿三郎は「人間国宝」の能楽師だ。長男の寿一は本来なら家業を継ぐべきだったが、能の稽古で父親と過ごす時間に耐えられず、17歳の時に家出し、プロレス団体に入門する。その後20年以上も父親と連絡を取っていなかった。

 本作品の脚本は、日本の一流脚本家である宮藤官九郎(Kankuro Kudo)氏によるものだ。宮藤氏は中国の映画ファンにも非常に有名で、「宮九製作、良品保証(宮九<宮藤官九郎氏の愛称>作なら良い品質が保証されている)」と評判だ。ゴールデンパンダ賞の選考活動の開幕直前に、宮藤氏は『東方新報(Toho Shinpo)』を通じて中国の視聴者に感謝の意を表した。彼は、「まず『能』と『プロレス』という、異国の方には馴染みがないだろう文化を扱ったドラマが中国で観られているということに驚きました。自分のことのように嬉しいです」と述べた。

 しかし中国の視聴者から見ると、宮藤氏の作品には一見するとふざけているように見える笑いの中に、「社会派」としての深い洞察と関心が隠されている。中国の視聴者は能にはあまり詳しくないかもしれないが、『俺の家の話』が描く東アジアの家庭における父子の激しい対立や、高齢の両親を養う責任の背後にある微妙な感情はよく分かる。

 宮藤氏は、ドラマの中の父の寿三郎について「天才肌で芸事に賭ける情熱と厳しさは超一流だけど、それ以外の部分が欠落している。特に親としては最低で最悪です」と述べた。

 宮藤氏によれば、俳優の西田敏行氏はこの複雑な父親を非常に魅力的に演じているという。彼は、「西田さんは日本が世界に誇る名優だと思います。特に長瀬智也くんとの組み合わせは最高です」と述べた。

 ゴールデンパンダ賞の選考活動は、中国文学芸術界連合会と四川省(Sichuan)人民政府が主催し、その審査員会は張芸謀(チャン・イーモウ、Zhang Yimou)監督など世界的に有名な業界関係者からなる。同賞は、人類運命共同体を構築することを推進し、人類の共通の美の追求にふさわしい優れた映像作品を選出することを目指している。(c)東方新報/AFPBB News