【9月19日 東方新報】2023年9月19日から20日にかけて、第1回ゴールデンパンダ賞(Golden Panda Awards)の選考活動がジャイアントパンダの故郷である成都市(Chengdu)で開催される。日中合作の長編映画『又見奈良(邦題:再会の奈良)』(2020)は、7000作品以上の応募作品の中から頭角を現し、ノミネートされた。

 同映画は、新鋭監督の鵬飛(Pengfei)氏が脚本・監督を務め、河瀬直美(Naomi Kawase)氏と賈樟柯(Jia Zhangke)氏がプロデューサーを務め、國村隼(Kunimura Jun)、永瀬正敏(Masatoshi Nagase)、呉彦姝(Wu Yanshu)、英沢(Ying Ze)が出演するものだ。映画は両国の映画館で上映され、映画評論家や映画ファンから高い評価を受けた。同作品は2005年の日本奈良県御所市を舞台に、第二次世界大戦後の日本の「中国残留孤児」と彼らの中国人養母の物語を通じて、20世紀における日中両国の複雑な歴史を描いている。

「再会の奈良」は、中国東北の80歳近くの善良な陳(Chen)ばあさんが、何年も連絡が途絶えてしまった中国残留孤児の養女を探すために、一人で奈良県にやって来て、現地の「中国残留孤児」の小沢と引退警察官の吉沢一雄と共に、養女探しの旅を始めるという「中国残留孤児」にスポットを当てた物語だ。

「再会の奈良」の撮影中、日本チームは鵬飛監督に深い印象を残した。

 引退警察官を演じた國村隼氏は、腰の不調を抱えながらも、泣き言を一言も言わず、この「ロードムービー」を完成させた。

 聴覚障害者の管理者役を演じた永瀬正敏氏は、撮影開始3日前からノイズキャンセリングイヤホンをつけ、話すことをやめ、文字でコミュニケーションを取るようにし、聴覚障害者になりきろうとした。

 ゴールデンパンダ賞は、人類運命共同体を構築することを目指す国際的な映画賞だ。このような賞に「再会の奈良」がノミネートされたことを知り、鵬飛監督は非常に喜んでいる。彼は、今日まで日中両国が互いの生活を理解するための手段はまだ少ないと考えている。彼は、普通の人生をうまく描き出す一方で、これらの人生を通じて歴史と現在を見通すような、小さな事から大きな事を見るような物語を構想したいと語った。

 鵬飛監督は、次の日中長編映画も、20世紀末の特別なグループに焦点を当てる計画だと明らかにした。次の作品も引き続き『再会の奈良』のスタイルと手法を採用し、心を打つ物語の中に、人びとが思わず笑ってしまうような小さなエピソードを織り交ぜる。「私の映画の多くはすでに悲しいテーマを扱っているので、それ以上に悲しい方法で物語を語るようなことはしたくない。『笑いの中にも涙あり』、これこそが人生だ」と、鵬飛監督は述べている。(c)東方新報/AFPBB News