■ピッツバーグ銃乱射事件の容疑者と極右の関係

 ピッツバーグ銃乱射事件のロバート・バウアーズ(Robert Bowers)容疑者も、民主党議員などトランプ氏に批判的な人物らに相次いで爆発物が送付された事件のシーザー・セイアク(Cesar Sayoc)容疑者も、特定の極右団体に所属していたということは確認されていない。だが、2人ともソーシャルメディア上では、反移民主義、反イスラム主義、反ユダヤ主義といった、典型的なオルト・ライトの考え方を示していた。

 移民政策で強硬な姿勢を示して支持者を獲得し、大統領にまで上り詰めたトランプ氏だが、極右的な価値観を持つバウアーズ容疑者にとっては「妥協のし過ぎ」だったようだ。

 バウアーズ容疑者が、特に目の敵にしていたのは、ユダヤ人移民を支援する米民間組織「ヘブライ移民支援協会(Hebrew Immigrant Aid Society)」だった。同容疑者は警察に拘束された後、「われわれに対して彼らがやっていることは『ジェノサイド(集団虐殺)』だ。ユダヤ人を殺したいだけだ」と言い放ったと伝えられている。

■拡大するオルト・ライト

 トランプ氏が2015年に大統領選に出馬し、バノン氏とブライトバート・ニュースがそれを支持すると、オルト・ライトへの注目度は一気に増した。

 2016年の大統領選でトランプ氏が反移民主義を掲げ、「アメリカ・ファースト」を訴えると、それは大きな共感を呼び、オルト・ライトの白人至上主義者たちの支持を集めた。

 オルト・ライトに共感する人の正確な人数を把握することは難しい。専門家は、トランプ氏が大統領に就任した2017年1月には、極右の団体で活動する人の数は数万人になっていたと話す。ただ、表に出てこない潜在的な支持者の数は数十万人に上るとされ、彼らの多くはインターネットでつながっているという。

 極右団体を監視する「ポリティカル・リサーチ・アソシエイツ(Political Research Associates)」のスペンサー・サンシャイン(Spencer Sunshine)氏は、昨年の取材で、「彼らは現在、協力して活動している」と指摘し、「トランプ氏支持者らの中に存在する人種主義的側面が盛り上がりをみせ、彼らの活動も活発化している」と続けた。