慣習を投げ飛ばす、ブラジル柔道の男子監督に抜てきされた日本人女性コーチ
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■パイオニアかは歴史が決める
スポーツの世界で女性指導者を増やすにはどうすればいいのか。藤井監督をはじめとする現在の女性コーチたちには、その方策を究明するきっかけになってほしいという期待もかかっている。
米国では、レベッカ・リン・ハモン(Rebecca Lynn Hammon)氏が米プロバスケットボール(NBA)のサンアントニオ・スパーズ(San Antonio Spurs)に勧誘された後、NBA初のフルタイムの女性アシスタントコーチに就任し、報道によれば次期指揮官の候補の一人に入っていて、初の女性ヘッドコーチ(HC)になる可能性もあるという。カレッジの女子チームも男性が率いることが当たり前の米バスケ界で、ハモンコーチはたった1人で道を切り開こうとしている。
テニスも似たり寄ったりだ。フランスのアメリー・モウレズモ(Amelie Mauresmo)氏は、アンディ・マレー(Andy Murray)のコーチを務めるという画期的な実績を残した後、デビスカップの母国代表監督に就任したが、ヴィーナス(Venus Williams)とセレーナ(Serena Williams)のウィリアムス姉妹をはじめとする女子の強豪は、男性コーチを付けていることがほとんどだ。
藤井監督によれば、柔道界では役員レベルでも競技者レベルでも状況の改善が進んでいて、女性コーチの人数や女子選手の知名度は増しているという。その一方で、自分は先駆者だと思うかとの問いに対し、監督は小さく笑った。結局のところ、自身の評価は東京五輪の成績次第だと分かっているからだ。
一番の目標は「ブラジル代表が良い柔道をして、選手たちが競技に全力で打ち込むこと」だと藤井監督は話す。「パイオニアかどうかはいずれ分かる」ことなのだ。(c)AFP/Sebastian Smith