【12月25日 AFP】情熱的なタンゴとサッカーで知られるブエノスアイレス(Buenos Aires)の象徴、ラ・ボカ(La Boca)地区。――そのラ・ボカをホームタウンとするのが、ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)らアルゼンチンの英雄もプレーした名門ボカ・ジュニアーズ(Boca Juniors)だ。

 そのボカの本拠地で、カラフルな家が立ち並ぶ港湾地区のシンボルでもあるスタジアム、通称「ラ・ボンボネーラ(La Bombonera)」に、新築の計画が現在持ち上がっている。

 クラブの幹部は、ボンボネーラの隣により大きな新しいスタジアムを建設し、ボンボネーラはコンサート会場や博物館として活用することを考えている。

 建設予算4億ドル(約480億円)の新スタジアムは、収容人数7万5000人を予定していて、ボンボネーラよりも2万人多い。しかし、荒くれ者の労働者階級がファン層の中心であるにもかかわらず、手ごろな価格の座席は以前よりも減るという。

 イタリアからの移民が20世紀初頭に根を下ろしたこの地区には、背の低い質素な家が多い。そのなかにあって、ボカのチームカラーである黄色と青に塗られたボンボネーラは、灯台のようにそびえている。

 1940年5月25日のこけら落とし以来、人気と実力を兼ね備えたアルゼンチン有数のクラブの本拠地として、ボンボネーラは数えきれないほどの試合を開催してきた。

 ファンも、スタジアムを「震わせる」ことに誇りを持っている。チームの「12番目の選手」として知られる彼らは、常にスタジアムをいっぱいにし、一試合を立ちっぱなしで飛び跳ね、叫び、無限のバリエーションがあるかに思えるチャントを歌う。

 カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のコリンチャンス(Corinthians)で指揮を執り、2012年にこのスタジアムでリベルタドーレス杯(Copa Libertadores de America)を掲げたチッチ(Adenor Leonardo Bacchi aka Tite)氏は、「ボンボネーラに充満しているエネルギーは別ものだ」と話す。