【3月31日 東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)で今年5回目となる宅地の公開売却が3月18日に実施され、2区画がそれぞれ9.09%、24.07%のプレミアム(落札価格の上乗せ率)で落札された。同日、北京市海淀区の宅地も27.93%のプレミアムで落札された。これは、年初から続く主要都市における土地市場の過熱傾向の一端を示している。

 ここ数年、土地の流札や最低価格での落札が常態化していたのに対し、今年に入ってからは住宅用地の取引規模と売却収入が増加しているだけでなく、主要都市では高プレミアムの土地取引が頻繁に見られるようになっている。

 たとえば、2月8日には、河南省(Henan)鄭州市(Zhenghzou)金水区のある宅地が255回もの競り合いの末、87.5%のプレミアムで落札された。3月3日には、上海市嘉定新城にある宅地が30%のプレミアムで落札された。中国指標研究院の統計によると、3月18日までに杭州で売却された16区画のうち12区画がプレミアム付きで落札され、なかには40%以上のプレミアムが付いたものも複数あった。上海でも2回の公開売却で5区画すべてがプレミアム付きで落札され、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)や江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)の中心部でもプレミアム率が20%以上のケースが見られた。

 中国指標研究院・指数研究部の曹晶晶(Cao Jingjing)総経理は、「高プレミアムの土地は、不動産企業が将来の住宅市場に対して楽観的な見方をしていることの表れであり、特に主要都市では土地市場の回復が住宅価格の安定に寄与する」と述べた。今年、主要都市で優良地が競り上がる背景には、主に二つの理由があるという。一つは不動産企業の投資戦略が主要都市に集中しており、新築市場の回復に期待している点。もう一つは、各地の政府が政策を改善し、供給体制や土地の質を高め、「良質な住宅」の供給を通じて市場の下落を食い止めようとしている点だ。

 実際、土地市場の回復は、需要側の改善とも密接に関係している。住宅市場の安定化を図る一連の政策が効果を発揮し、今年に入ってからは、住宅の実需および改善需要が徐々に表面化し、不動産取引が回復傾向にある。

 国家統計局の報道官・付凌暉(Fu Linghui)氏によると、1〜2月の建売住宅の販売面積と販売額の前年同期比の減少幅は、2023年通年と比べてそれぞれ7.8ポイント、14.5ポイント縮小した。重点40都市においては、建売住宅の販売面積と販売額が前年同期比でそれぞれ1.3%、7.1%増加した。また、不動産業者を対象とした調査では、2月において70の中・大都市にある不動産企業や仲介業者のうち、今後半年間で建売住宅価格が「安定もしくは上昇する」と見ている割合は71.8%に達し、前月より2.8ポイント上昇している。

 曹晶晶氏は「昨年第4四半期以降、一連の好材料によって主要都市の不動産市場は回復基調にあり、最近の優良地の活発な取引も、企業が新築市場の将来性をポジティブに見ている証拠だ。さらに、未利用土地の買い取りが今年の『不動産投資の安定化』における重要施策とされており、土地の在庫を成長へと転換する新たなサイクルが生まれつつある」と語る。一方で、短期的には主要都市の優良地が引き続き高い注目を集める一方、地方都市の土地市場は一定の圧力に直面し、都市間・地域間の二極化はさらに進むと指摘する。

 克而瑞研究センターの市場研究ディレクター・馬千里(Ma Qianli)氏は、「現在の市場に見られる前向きな需要の兆しと積極的な財政政策により、2025年には地方政府が主要エリアの供給改善と需給調整に一層注力するだろう」と述べた。そして、今年上半期の土地市場については次の2つの傾向があると予測している。1つは、主要都市の優良住宅用地が高いプレミアムで落札されることが常態化する点。もう1つは、土地市場の活気が主要都市の中心部から周辺部へと波及し、「低在庫+高い購買力」という2つの強みを持つ地域から地価の回復が始まる可能性がある、という点だ。(c)東方新報/AFPBB News