【3月26日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は25日、連邦選挙の有権者登録時に市民権の証明を義務付けるなど、選挙管理の厳格化を指示する大統領令に署名した。これを受け、専門家は大統領権限の乱用だと批判し、数百万人の米国人が投票権を失う可能性があると警告。権利擁護団体も法的措置を講じる構えを見せている。

トランプ氏は2020年の大統領選でジョー・バイデン前大統領に敗北したことを依然として認めておらず、特に郵便投票に関して大規模な不正があったとする根拠のない主張を続けている。

トランプ氏はホワイトハウスで大統領令に署名する際、「選挙について私が文句を言うべきではないと思う人もいるかもしれない。なぜなら昨年11月(の大統領選)は私が圧勝したからだ」と発言。その上で、「それでも選挙制度を正さなければならない。この国は偽の選挙のせいで深刻な問題を抱えている」と述べた。

新たな規則では、有権者は居住州での投票登録時にパスポートなどの書類を提示し、市民権を証明する必要がある。また、郵便投票についても、選挙日までに選管事務所に到着した分のみを有効票とすることが明記された。大統領令に従わない州には連邦政府補助金の削減が科される可能性がある。

この大統領令について、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のリチャード・ハセン法学教授はブログで、「この危険な大統領令によって数百万人の有権者が排除される可能性がある」と指摘。連邦選挙の実施は主に州の権限であり、規則は連邦議会が定めるものだとし、「これは権力の奪取に当たる」と批判した。

人権団体の全米自由人権協会(ACLU)も、大統領令は「極端な権力の乱用」だと非難。「彼(トランプ氏)とは法廷で会うことになるだろう」と述べ、法的措置を取る方針を示唆した。(c)AFP