【3月30日 CNS】中国の中継衛星「鵲橋2号(Queqiao-2)」は3月20日、キャリアロケット「長征8号(Long March-8)」に搭載され、無事に宇宙空間に入り、月への旅を開始した。

 中継衛星「鵲橋2号」の打ち上げは、中国の月探査4期の後続プロジェクトの重要な一歩となる。中国の月探査4期は2021年12月に実施を許可され、「嫦娥4号(Chang’e-4)」「嫦娥6号(Chang’e-6)」「嫦娥7号(Chang’e-7)」「嫦娥8号(Chang’e-8)」の4回のミッションからなる。主な目的は月の南極での科学探査を行い、月科学研究ステーションの基本形を構築することだ。「嫦娥4号」は2018年12月に打ち上げられ、世界初の月裏側での軟着陸と巡視探査を実現した。「嫦娥7号」と「嫦娥8号」はそれぞれ2026年と2028年に打ち上げられる予定だ。「嫦娥6号」は今年の上半期にタイミングを見計らい打ち上げられ、月の裏側でのサンプルリターンミッションを実行する。計算によると、「嫦娥6号」が月に着陸し、サンプルを採取する2日間の間に、「鵲橋2号」は1日に20時間以上の中継通信サービスを提供することができる。

 中継衛星の名前「鵲橋」は、カササギが橋を架けることで牛郎(Niulang)と織女(Zhinv)が出会えるという中国の民間伝承に由来している。これは、中国の宇宙航空の素朴で詩的な命名スタイルを継承するとともに、この衛星の特別な役割、つまり地球と月との「対話」の橋を架けることを象徴的に説明している。

 地球と月の間の情報交換は、中継衛星を介して行われる。これは、月が地球の周りを公転する周期と月自身の自転周期が同じであるため、月の一面が常に地球から見えない背面になっているからだ。中国の探査機が月の裏側に着陸しようとすると、通信のための信号は必然的に月そのものによって遮られ、地球との計測制御・通信やデータ伝送を直接行うことができない。中継衛星の導入は、信号が月に遮られない場所に「ルーター」を設置するようなもので、月面探査機と地上はこの「中継局」を利用し、「地球と月の間の情報伝達」を実現する。

 中国は2018年に世界初の地球と月を結ぶ中継衛星「鵲橋」を打ち上げ、月の裏側に着陸した月探査機「嫦娥4号」に中継通信を提供した。現在、「鵲橋」は軌道上で5年以上働いており、すでにサービス期間を超えている状態にある。「鵲橋2号」の打ち上げは、現在稼働中の「嫦娥4号」や、今後実施予定の「嫦娥6号」「嫦娥7号」「嫦娥8号」など、中国の月探査4期のミッションに対し、40万キロ以上にわたる地球と月の通信の架け橋となることを意味する。(c)CNS/JCM/AFPBB News