【3月19日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は18日、今月の議長国・日本の主催で「核軍縮・不拡散」をテーマにした会合を開いた。アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、米アカデミー賞(Academy Awards)の作品賞を受賞した原子爆弾開発者の伝記映画『オッペンハイマー(Oppenheimer)』を引き合いに出し、核戦争のリスクはここ数十年間で最も高くなっていると警鐘を鳴らした。

 グテレス氏は、『オッペンハイマー』について「核兵器が世界を破滅させ得るという残酷な事実を世界中の数百万の人々に迫真性をもって想起させた」とし、「『オッペンハイマー』の続編(核戦争)が現実のものとなれば人類は生き延びることができない」と警告した。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、ウクライナを支援する西側諸国に対し、同国での核兵器使用も辞さない構えを示している。

 グテレス氏はプーチン氏の名前には触れず、「核兵器を使用するとの威嚇は、いかなるものであれ容認できない」と強調した。

 ロシアだけでなく、北朝鮮、イランの核兵器開発をめぐる懸念もくすぶり続ける。一方、イスラエルは核武装を公表していないものの、中東で唯一の核保有国とされている。

 グテレス氏は、2026年2月に期限切れを迎える米ロ間の「新戦略兵器削減条約(新START、New START)」の後継条約について、ウクライナ紛争を受け途切れている協議再開を両国に呼び掛けるとともに、核兵器禁止条約(Treaty on the Prohibition of Nuclear WeaponsTPNW)などを通じた核軍縮を呼び掛けた。同条約は2021年に発効したが、核保有国が批准していないため実質的な効力はほとんどない。

 会合では、プルトニウムと高濃縮ウランとの生産を禁じる核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の「フレンズ(友好国)」グループへの参加を、日本とともに米国とフランスが表明した。

 議長を務めた上川陽子(Yoko Kamikawa)外相は、FMCTへの「国際的・政治的な関心を一層高めていく」と述べた。(c)AFP