【3月11日 AFP】中東の複数の国で11日、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramdan)」が始まった。パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)では依然戦闘が続いており、目標とされていたラマダン入りまでの休戦合意には至らなかった。

 11日にラマダン入りしたのはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプト、パレスチナ自治区など。モロッコ、リビアなどは12日からとなる。

 イスラムの五行の一つであるラマダンの期間中、イスラム教徒は夜明けから日没までの間は飲食を控え、日没後の食事「イフタール(Iftar)」を家族や友人らと共に取る。祈りの期間ともされており、多くの教徒がモスクを訪れる。

 ただ今年は、イスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)との武力衝突が暗い影を落とす。ラマダン前の戦闘休止を目指し、数週間にわたって関係各国がエジプトでの協議に臨んだが、期待は打ち砕かれることとなった。

 約150万人が避難しているガザ南部ラファ(Rafah)では、市場を訪れていた人々が食料不足や、ラマダン中も続く見通しの戦闘への不安を口にした。

 北部ガザ市から避難してきたハッサンさんは、ラマダン月の終わりを「私たちが家で迎えるのか、それとも避難用のテントでなのか」分からないとAFPに語った。

 一方、サウジの首都リヤドの市場で買い物をしていた50代の政府職員は「これまでに経験した中で最悪のラマダンだ」と話した。「ガザで人々が食料不足で苦しんでいるのに、私は家族のために鶏肉などを買っている。複雑な気持ちだ」(c)AFP/Haitham EL-TABEI, Adel Zaanoun with Ilan Ben Zion in Jerusalem