【3月8日 AFP】インド当局は7日夜、ウクライナで戦わせるためロシア軍にインド人をあっせんしていた「人身売買」網の複数のメンバーを拘束したと発表した。当局は全国各地の旅行代理店で強制捜査を行った。

 ウクライナ侵攻ではこれまでに少なくとも2人のインド人兵士が死亡している。またロシア軍に所属する複数のインド人兵士はAFPに、うその約束で前線に送り込まれたと証言している。

 中央捜査局(CBI)は7日夜、同日に全国13か所の強制捜査を行い、「事情聴取のため複数人を拘束した」と発表した。

 こうした業者は「組織的なネットワークを形成し、ユーチューブなどのソーシャルメディア・チャンネルや現地の代理人を通じて、ロシアに高収入の仕事があると勧誘していた」という。

 だまされたインド人たちは、戦闘員として訓練を受け、意思に反してロシアとウクライナの戦闘区域にある前線基地に派遣されたとしている。

 CBIは、インド人がロシアにあっせんされたケース35件前後を特定したが、他にも被害者がいると見て調査を続けている。

 インド外務省は先に、インド人約20人をロシア軍から除隊させるために動いていると明かしていた。

 AFPが2月に取材した複数のインド人は、勧誘時に高収入とロシア国籍の付与を約束されたと証言。また、戦わなくていい職務だと言われたが、ライフルなどの使い方を訓練され、ウクライナに送られたと話していた。

 CBIは4人の容疑者の氏名を公開。そのうちの一人、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイに拠点を置くファイサル・カーン(Faisal Khan)容疑者は、自身のソーシャルメディア・チャンネルでロシア軍の仕事を紹介していた。

 カーン容疑者は先月、AFPの取材に応じ、昨年末にロシア軍での支援任務の求人を受け、インド人16人のロシア行きを手配したと話した。

 同容疑者は、派遣したインド人に武器が支給されたことに「驚いた」と指摘。「募集をやめることに決めた」と語った。

 インド経済は急速に発展しているが、失業率は依然として高く、毎年多くの人が外国に出稼ぎに出ている。(c)AFP