【3月2日 AFP】空から見ると、宇宙人が作ったような巨大な円形の模様が眼下に広がる──。だがこれは、ペルーのプーノ(Puno)にあるアンデス高原で、気候危機と闘うために農家の人々が復活させた、いにしえの農業技術だ。

 2000年前にボリビアとの国境付近で行われていた農業技術「ワルワル(Waru Waru)」が、ジャガイモやキヌアなどの栽培に使われている。「ワルワル」とは先住民の言語であるケチュア語で「尾根」という意味だ。

「季節を変えてしまう気候変動に立ち向かうための農業技術だ。干ばつや霜が降りる時期にとても役立つ」と農家のセサル・クティーパさん(42)はAFPに話した。

 プーノは標高3812メートルに位置するチチカカ湖(Lake Titicaca)の湖畔に位置する。農家の人々は、水害に見舞われやすい畑の近くに六つの「ワルワル」を作った。

 長方形の溝があり、そこで植え付けが行われる。水に囲まれた苗床は長さ100メートルにもなる。作物の周囲にある水が微気候(狭い範囲の気候)をつくり出し、日中は太陽からの熱を吸収し、夜間にはその熱を放射して霜が降りるのを防ぐ。

 昨年、プーノが過去60年で最悪規模となった干ばつに見舞われた際、この「ワルワル」が水不足に対処し、食糧不足の回避に役立った。

 ある地元住民は「自分たちの育てるジャガイモやキヌア、大麦があるから私たちはここで穏やかに暮らせる。都会に行かなくても平和でいられる」と語った。

 映像は2月に撮影。(c)AFP/Juan Carlos Cisneros with Carlos Mandujano in Lima