【2月21日 東方新報】最近、ドイツなどが発表した調査報告によると、大国間の駆け引きが激化する中、多くの外資企業が中国からの「離脱」に興味を示しておらず、中国シフトをさらに進めようとしていることが明らかになった。

 ドイツの経済研究所がドイツ連邦銀行のデータに基づいて作成した報告書によると、昨年のドイツから中国への直接投資総額は前年比4.3パーセント増の119億ユーロ(約1兆9291億円)に達した。これでドイツの海外投資総額に占める中国への投資の割合は10.3パーセントに達し、14年以来の最高水準をマークした。

 この報告書によれば、ドイツ企業が中国で過去3年間に投資した金額は、15年から20年までの投資総額とほぼ同額だった。

 また中国日本商会の調査によると、昨年に中国で新たな投資を行った在中国日本企業は半数以上に上り、日本企業の中国での営業収入、営業利益、経営状況などが改善されたという。

 回答した日系企業の51パーセントが、24年以降の中国を「最も重要な市場」あるいは「三つの重要な市場の一つ」と位置付けている。

 さらに、中国商務部の統計によれば、昨年のフランス、英国からの中国への実際の投資は、それぞれ前年比で84.1パーセント、81.0パーセント増加し、オーストラリアから中国への投資も前年比17.1パーセント増加している。

 外資企業が中国からの「離脱」に興味を示さない大きな理由の一つは、中国経済の強靭さにあるという。中国は昨年、国内総生産(GDP)が126兆元(約2627兆7804億円)を突破し、実質成長率は前年比で5.2パーセントに達し、世界全体の約3パーセントという予想成長率を大きく上回った。これは主要経済体の中でもトップクラスの数値だ。

 国際通貨基金(IMF)は、24年から28年にかけて、中国経済の成長率は先進経済国の成長率を大幅に上回り続けるだけでなく、新興経済国や開発途上国の中でもトップに位置すると予想している。

 中国経済の安定した発展と市場規模の持続的な拡大は、中国への投資が莫大な利益空間を生み出すことを意味している。世界経済の回復が難航する中、これは外資系企業にとって非常に魅力的だと言える。

 中国国際貿易促進委員会が発表した調査によると、昨年4四半期に回答した外資系企業の90パーセント以上が、今後5年間の中国での投資利益率は現状維持かあるいは向上すると予想している。

 中国がビジネス環境を継続的に改善していることも、外資系企業が中国での事業を深化させる意欲を高めている。中国商務部は昨年、外資系企業の提案や要望を直接理解し、継続的に解決策を探るため、外資系企業との円卓会議を10回以上開催した。これには400以上の外資系企業と外国商業協会が参加している。

 中国商務部の王文涛(Wang Wentao)部長は、「これらの活動が外資企業の問題を解決するだけでなく、中国の経済開放への決意と外資歓迎の態度を示している」と述べる。

 しかし、中国にはより多くの努力が必要だ。

 中国社会科学院世界経済政治研究所の高凌雲(Gao Lingyun)研究員は「現在、中国には外資系企業向けの紛争解決メカニズムが十分整備されておらず、外資企業が権利を主張する際には証拠提出が難しく、期間が長く、コストが高い」と指摘する。

 また、「中国のベースコストの上昇に伴い、外資企業が海外移転を図る傾向も増大している。ゆえに中国は全国的に統一された大市場の建設を通じて、外資企業のコストを体系的に削減し、外資企業に対し的確なサービスを提供すべきだ」とも述べている。(c)東方新報/AFPBB News