■「残忍かつ組織的」

「ボダボダ」と呼ばれるオートバイタクシーの運転手、サイモン・カマウ・ワマイタさん(33)もデルモンテの警備員から虐待を受けた。裁判に加わりたいと言う。

 2020年10月、石炭の入った袋を運びながら農園を横切ろうとして声を掛けられた。「警備員たちは一斉に襲いかかり、容赦なく殴ってきた。犬を放って私を殺そうとした」。鼻先にはそのときの傷が残っていた。

 30代の女性ブリジットさん(仮名)は2002年、12歳のときに母親と薪を集めに行った農園で、3人の警備員に集団レイプされたとAFPに語った。

「服を脱げと言われて拒否したら、無理やり脱がされ、地面に押さえつけられて交互にレイプされた」

「羞恥心」から夫にも被害について話したことがないという。デルモンテに損害賠償を求めているが、裁判は起こしていない。

 英国の法律事務所リー・デイ(Leigh Day)は、デルモンテの警備員から虐待を受けたという134人の代理人を務めている。ウェブサイトによると殺人5件、レイプ5件が含まれ、一部の事件は2013年にさかのぼる。

 担当弁護士のリチャード・ミーラン氏は「ケニアのデルモンテ警備員による人権侵害疑惑は、パイナップル窃盗を抑止するために編み出された方法が残忍かつ組織的で、人権を尊重する企業のやり方ではない」と述べた。(c)AFP/Dylan GAMBA