■問われない罪

 英紙ガーディアンと英NPO調査報道局(BIJ)は昨年6月に発表した共同調査で、過去10年間にこのデルモンテ農園で6件の殺人があったとする疑惑を報告している。

 これを受け、英大手スーパーマーケット、テスコ(Tesco)はケニア産パイナップルの販売を停止。ウェイトローズ(Waitrose)もデルモンテ農園のパイナップルの販売を停止した。

 訴状によると、地元の人々はデルモンテ農園がある場所を先祖伝来の土地の一部と主張しており、長年広大な敷地内を往来してきた。そのため、デルモンテが配置した警備員との衝突が起き、警備員が「不法侵入者」に暴行、殴打、拷問を加えたり、レイプや殺人を行ったりしているとしている。

 住民側のムビユ・カマウ弁護士は、デルモンテの警備員は「免責扱いだ」「ほとんど対処されていないことが問題だ」とAFPに語った。またケニアの行政機関、法的機関、警察の怠慢でもあると非難した。

 州知事、警察、司法省のいずれもAFPの取材要請に応じていない。