【2月15日 東方新報】中国人が自分たちを「龍の子孫」と呼ぶのには理由がある。伝説によると、古代中国の伝説の部族長である炎帝(えんてい、Yandi)は、母親と強力な龍との心霊的な交流から生まれたとされている。

 意見の相違はあるが、多くの研究者はこの炎帝を、古代の民に農耕具や薬草の使用を教えた伝説の始祖・神農(しんのう、Shennong)と同一人物だとしている。

 伝説によると、炎帝と同盟を組んで共通の敵である蚩尤(しゆう、Chiyou)を倒した黄帝(こうてい、Huangdi)も、この死闘で龍の助けを借りたと言われている。そして黄帝が亡くなると、天から龍の髭が降りてきて、黄帝はその髭につかまれ、永遠の彼方へと昇って行ったとされる。

 中国人の間には自分たちを「炎黄子孫」(炎帝と黄帝の子孫)と見る悠久の歴史的伝承があり、祖先崇拝の中心に龍を位置づけているのも当然のことと言える。

「遼寧省(Liaoning)文物考古研究所」の名誉所長で、著名な考古学者・郭大順(Guo Dashun)氏は「これら古代の伝説の全てを『根拠のない単なる神話だ』と一蹴してしまう人たちは、もう一度考えてみる必要がある」と述べている。

 郭氏は、中国人にとっての「龍」という概念は、中国の北東地域のいてつく広大な土地で芽生えたものだと考察している。

 遼寧省撫順市(Fushun)では、1982年に考古学者たちが、花こう岩のかけらで作られたと思われる完全な龍の姿を発見している。龍の頭は10以上の埋葬穴の近くに位置し、尾は大きな住居跡につながっていた。全長約20メートル、幅2メートルのこの龍の姿は、胴体の部分がはっきりと識別でき、発掘された地面全ての中央を占めていた。(c)東方新報/AFPBB News