【2月14日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year)が到来し、また紅包(Hongbao、お年玉)をあげる時期がやってきた。SNS上ではお年玉に関する議論が加熱し、「お年玉の金額が1か月分の給料に匹敵する」がトレンド入りした。

 本来、年始の親戚訪問は喜ばしいことのはずだが、中国新聞社(CNS)の取材を受けた27歳の王(Wang)さんは、少し頭を抱えていると話す。彼女は、自分の家では7人の子どもに、夫の家では5人の子どもにお年玉をあげる必要があると話した。一人あたり600元(約1万2472円)で、合計7200元(約14万9668円)も必要になる。人によっては年末ボーナスすらこれほどないと王さんは話す。

 王さんの実家は浙江省(Zhejinag)餘姚市(Yuyao)の農村にあり、「私が小さい頃は、長老たちは基本的に200元(約4160円)をあげていましたが、いつからか200元では出せなくなり、最低でも600元、時には数千元(1000元は約2万円)を出します。私の年代にとっては大きなプレッシャーです。村の老人たちにとってはなおさらです」と話す。

 彼女は少なく渡したいと考えたことはあるが、他人からの批判や両親の同意が得られないという。「年配の世代はメンツを重んじ、私があげなければ代わりに彼らがあげることになり、金額は一人当たり800元(約1万6629円)から1000元に達することもある」と話した。

 70歳を超える周伯(Zhou Bai)さんは、孫にあげるお年玉が20元(約415円)から現在の100元(約2078円)、200元(約4157円)にまで上がったと話した。周さんの収入は主に農業からの稼ぎで、お年玉に最もお金を使っていると話した。孫や甥っ子を合わせて20人近くにお年玉を渡すという。

 ネットユーザーは近年、互いの比較などの心理からか、子どもたちにあげるお年玉の額が大幅に増加していると話す。あるネットユーザーは1000元から始まると話し、あるネットユーザーは、春節で1万7000元(約35万3384円)のお年玉を配ることになると嘆いている。

 山東大学(Shandong University)社会学部の王忠武(Wang Zhongwu)教授は中国新聞社の取材に対し、お年玉は子どもたちの健康と幸福を願う表現であり、その本来の意図は素晴らしいものだと指摘する。しかし、お年玉の金額増加が家庭に経済的な負担をもたらし、意味が変わりつつあることについては、慎重に考える必要があると話した。(c)東方新報/AFPBB News