【2月10日 AFP】2021年の東京五輪・柔道女子48キロ級で銅メダルを獲得したウクライナのダリア・ビロディド(Daria Bilodid)がAFPのインタビューに応じ、今夏のパリ五輪では自分以外のためにも金メダルを取り、ロシアとの戦争が2年間続く中で同胞が「踏ん張っている」ことを示したいと語った。

 仏パリで今週から国際合宿に臨んでいるビロディドは、「自分は常にウクライナを代表することを大切にしている。戦争の前からそうだったが、今は自分のためだけでなく祖国のためにも勝ちたいという気持ちが強くなっている」と話した。

 さらに「目標は金メダル。本当にほしい。まだ希望はあるということ、そして自分たちが今も踏ん張っていることを示さなければならない」とし、「それはウクライナの人々や若者たちのために、とても重要なこと」と述べた。

 カタールで開催された昨年の世界柔道選手権(World Judo Championships 2023)では、ウクライナがロシア選手の出場を理由に参加をボイコットしたため、ビロディドは3度目の世界タイトル獲得に挑戦できなかった。

 パリ五輪では、戦争を積極的に支持せず軍や治安機関に所属していないロシア人選手だけが、中立を条件に参加を認められることになっている。

 仮にロシア人選手が相手に決まった場合、ビロディドは「大臣が許可しているから、自分は(対戦を)受け入れる」とし、「もちろん、彼らに勝ちたいという気持ちはさらに高まっている」と明かした。

 ビロディドは2022年2月にロシアによる侵攻が開始されて以降、一時はスペイン・バレンシア(Valencia)に滞在していたが、現在は首都キーウでの生活を続けている。キーウでは毎日練習するのも簡単ではない厳しい環境だというが、「ある意味で自分たちはこの状況に慣れてきた」と話す。

「人々は戦争にとても疲れている。ミサイルが降り注ぐこともある。先のことは誰も分からない」とビロディド。「パリでウクライナの国歌を聞くことできたら、最高の感動の瞬間になるだろう」と語った。(c)AFP/Olivier LEVRAULT