死者にも安息なし 一時遺体をイスラエル軍が掘り起こし ガザ
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■「死者の尊厳を踏みにじるなんて」
一方、ガザ中部デイルアルバラ(Deir al-Balah)で、避難してきたパレスチナ人で混み合う学校で取材に応じた女性は、北部にあるジャバリア(Jabalia)難民キャンプで墓地が荒らされている動画をソーシャルメディアで見たと話した。
この墓地には父親と祖父母、親族が埋葬されているため、「心臓が止まるかと思った」と言う。
「墓を掘り起こし、死者の尊厳を踏みにじるなんて、よくもあんなまねができるものだ」と憤った。
戦闘は依然として続いており、墓地を訪れることができずにいる市民も多い。そのため、身内を亡くしても、取りあえず近場で埋葬せざるを得ない状況だ。
マガジ(Al-Maghazi)難民キャンプの中心部で避難所代わりになっている学校にいた女性は、校庭の砂地に触れた。ここに娘を埋葬したのだという。
学校の敷地がロケット弾で攻撃され、ガスボンベが爆発。「娘は私の腕の中で亡くなった」と話した。
◼️戦争が終わったら、きちんと葬りたい
AFP記者は、ガザ全域で集団墓地を目にしてきた。
ガザ最大のシファ(Al-Shifa)病院の敷地内には、石や枝で区切られた墓がずらりと並んでいる。
敷地内に設置されたテントで家族と生活している男性(46)は、「墓地に(埋葬に)行けば、(イスラエル軍に)爆撃され、私たちも死んでしまうかもしれない」と話した。
22歳の息子は、この病院に戻って来る途中でイスラエル兵に射殺された。
「息子の墓に目印を付けたが、病院の敷地が墓でいっぱいになり、どれが息子の墓か見分けが付きにくくなった」と話した。
ガザの人々は、戦争が終結すれば、亡くなった家族をきちんと埋葬できるのではないかと期待している。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)のガザ支局長を務めるワエル・ダハドゥ(Wael al-Dahdouh)氏は、同局で記者として働いていた息子のハムザ・ダハドゥ(Hamza Wael Dahdouh)氏をイスラエル軍の空爆で失った。その時は、南部ラファ(Rafah)の集団墓地に埋葬する以外に「選択の余地がなかった」と話す。
「この戦争が終わったら、息子をガザ(市)の墓地に移すつもりだ。私たち家族の近くに埋葬し、息子の元を訪ねて祈りをささげられるようにしたい」と語った。(c)AFP/Adel Zaanoun