【1月29日 AFP】イエメンの親イラン武装組織フーシ派(Huthi)が紅海(Red Sea)で、日本企業がチャーターし運航していた船を拿捕(だほ)してから2か月余りが経過した。フーシ派は現在、同船で「見学ツアー」を催し、希望者に船内の様子を公開している。

 フーシ派は自動車運搬船「ギャラクシー・リーダー(Galaxy Leader)」を、パレスチナ人に連帯を示す戦いにおける戦利品と位置付けている。

 1グループ当たり1ドル(約150円)を支払うと、木造船でギャラクシー・リーダーへと案内され、内部も見学できる。参加者は男性のみに限られ、週に5回公開されている。

 パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での衝突開始直後から、フーシ派は紅海を通過する、イスラエルと関係があると見なした船舶を相次いでミサイルやドローンで攻撃。これを受けて米主導の有志連合が警戒監視に乗り出し、また米英軍はフーシ派の軍事拠点を攻撃した。

 こうした反応があっても、拿捕船見学ツアーのムードに大きな変化はない。同船は現在、イエメンやパレスチナの旗のほか、反米・反イスラエル的なスローガンが書かれた旗で飾られている。

 フーシ派の支配下にある首都サヌアから来たという見学者は、「(フーシ派の)部隊が、抑圧されているパレスチナとガザの兄弟たちへの支持を表明してこの偉業を成し遂げたことは誇りであり名誉だ」と話した。

 ギャラクシー・リーダーは、イスラエル人実業家が所有する英企業の船で、昨年11月に拿捕された際には日本郵船(NYK Line)が運航していた。乗組員25人の出身国はブルガリア、フィリピン、ウクライナ、メキシコで、安否は依然不明だ。

 AFPが見学者に取材したところ、乗組員の姿を見たと語った人はいなかった。

 照り付ける太陽の下、船上で1時間ほど過ごした見学者の一行は「神は偉大なり、アメリカに死を、イスラエルに死を」と声を上げながら岸へ戻って行った。(c)AFP/AFP correspondents with Amanda Mouawad in Dubai