■不気味系も

 自律二足歩行型のヒューマノイドが研究室から出て普及に至るまでには、まだまだ時間が必要だ。

 しかし、ラスベガスにオープンしたばかりの新しいエンターテインメント施設「スフィア(Sphere)」で人々を楽しませるオーラ(Aura)のような先駆的なヒューマノイドは、少なくとももはやCESの会場にとどまっていない。

 オーラは「年齢や人生の意味、スーパーボウルの勝利予想など、たくさんの質問を受けます」と、興味深そうに見つめる観客に向かっておしゃべりする。

 質問に回答する際には、冗談や大げさな笑い声を挟み、時には肩をすくめるジェスチャーまでする。

 ただし、このように高度に擬人化されたヒューマノイドには「人をゾワッとさせる側面がある。人間とロボットの境界があいまいになり、ぎょっとさせるのだ」と、エンチャンテッド・ツールズのモンソー氏は指摘する。

「(そんなロボットには)家や病院で日々接したいとは誰も思わない」

 また「人はロボットに対しても自分たちと同じように振る舞うことを期待してしまう。そうなると利用者が落胆する事態も出てくるだろう」と語った。

「ロボットは人間と同じように世界を見たり理解したりはしないのだから、それはどうしようもない。当面、そんな世界は訪れないだろう」

 アジリティー・ロボティクスの共同創設者であるジョナサン・ハースト(Jonathan Hurst)氏は、ディジットに頭部がなければ、見る人に不気味な印象を与えてしまうと話す。開発に当たってこの点については何度も議論したとし、技術的には頭部に特に意味はないが、それでも残すことに決めたと説明した。

 CESの会場では、米リッチテック・ロボティクス(Richtech Robotics)が手掛けたバリスタロボットのアダムが来場者にコーヒーを振る舞っていた。

 アダムには新たに生成AIが搭載され、冗談を言うこともできるようになった。

 それでも、コーヒーメーカーにミルクを補充する際には、まだ人間の手を借りなければならないのだ。

 映像は今年のCESに出展されたロボットの「ミロカ」と「モキシー」と「アダム」。7、9、10日に撮影。(c)AFP/Julie JAMMOT