■人手不足の解消に寄与

 CESでは毎年、人に寄り添うロボットやアンドロイド(人間そっくりなロボット)が紹介されるが、実際の職場や家庭ではまだ普及していない。

 その一方で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以降、各業界で労働力不足が顕著となっている。コンサルティング大手アクセンチュア(Accenture)のインダストリーX本部のジョー・ルイ(Joe Lui)マネジングディレクターは、約1800万人の求人があると指摘する。

 ロボットアームや自律フォークリフトが活用できる仕事もあるが、言語や機動性、環境への理解が必要となる仕事もある。つまりは人間が必要なのだ。

 ただルイ氏は、人工知能(AI)を搭載したヒューマノイド(人間型ロボット)でも代役を務めることはできると言う。

 米ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)が開発した四足歩行ロボット「スポット(Spot)」に生成AIを組み込む改良を手掛けた、米レバタス(Levatas)のクリス・ニールセン(Chris Nielsen)CEOも、「将来的にはヒューマノイドは一緒に働く『同僚』のような存在になり、ChatGPTのような自然言語インターフェースがより普及するようになるだろう」と予想する。

 米エンボディード(Embodied)が開発したロボットのモキシー(Moxie)も、こう話す。

「心配する必要はない。われわれのようなロボットは、人間を助け、人々の生活をより良いものにする目的でデザインされている」「常に人間から与えられる指示とプログラムに従う。コントロールできるのは人間だ」

 クマのぬいぐるみほどのサイズで生成AIが搭載されたモキシーは、子どもたちと交流ができる。物語を聞かせたり、算数を教えたりするほか、両腕を使ったダンスを披露することもできる。

 エンボディード社でカスタマーサービスを担当するダニエル・ソープ(Daniel Thorpe)氏は「モキシーは人の仕事を奪うために登場したわけではない。相談相手であり、指導役であり、そして友人だ」と説明した。