【1月23日 AFP】メキシコで過酷な環境で飼育されていた「孤独な」キリンが21日、サファリパークで新たな生活を送るため、米国の国境近くから中部プエブラ(Puebla)州まで約2000キロの「旅」に出た。

 ベニートと名付けられた雄のキリンがいた北部チワワ(Chihuahua)州シウダフアレス(Ciudad Juarez)は年間の寒暖差が激しく、キリンの住環境としては不適切だとして、動物愛護団体は「ベニートを救おう」と銘打った運動を立ち上げていた。

 動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」も、この運動を支持。ベニートは「草や木陰、日差しや風雨を避ける適切な場所もなく、ごみだらけの囲いの中で」孤独な生活を送っていたと指摘した。

 裁判所は今年中旬、ベニートのプエブラへの移送を命じた。

 同州にあるアフリカム・サファリ(Africam Safari)のフランク・カマチョ(Frank Camacho)代表はベニートについて、「温度管理された囲いの中で、必要な餌をすべて与えられる適切な環境で暮らすことが重要」だとし、成体や若いキリンなど、さまざまな個体がいる非常に大きな群れに加える予定だと話した。

 嘆願運動を9か月近く続けてきた「ベニートを救おう」のメンバーの一人は、出発に際し、「私たちにとっても、きょうはとても幸せな日だ」と話した。

 特別なトレーラーでの移動には専門家チームが同行しており、到着までに約50時間かかる見込み。(c)AFP