【1月13日 東方新報】植物の種子が宇宙環境に晒されることで、固有の形質が強化される突然変異が起きることが期待されている。

 科学者たちは、栽培効率と収量を向上させる可能性があるユニークな特性を発見することを期待して、5か月間宇宙で過ごした6万個以上のジャガイモの種子の選別と栽培プロセスを開始した。

 内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の「商都馬鈴薯技術創新中心(商都ジャガイモ技術創新センター)」に届けられた種子は昨年5月、有人宇宙船「神舟16号(Shenzhou-16)」に搭載され、10月31日に地球に帰還した。

 同センターによると、この宇宙ジャガイモの栽培プロセスには、実験室、温室、畑での試験段階が含まれる。センターは、標高が高く、寒冷な気候で、病害虫が少なく、利用可能な土地が豊富であり、ジャガイモ栽培環境に適している。

 種子は温室で最適な条件下で発芽させられ、塊茎が育つまでポットで育てられる。その後、さまざまな特性を評価するために畑に移される。収量や耐病性に焦点を当て、約5パーセントが選ばれて追加試験が行われるという。

 国家馬鈴薯工程技術研究センターの胡柏耿(Hu Baigeng)主任は「宇宙環境は種子に遺伝子変異を誘発する可能性あり、早熟、高品質、高収量、耐病性などの望ましい形質を生むことが期待できる」と説明する。

「宇宙誘発突然変異育種」や「宇宙突然変異誘発」といわれるこの育種技術は、種子を強い宇宙線に晒すだけでなく、真空、微小重力、地磁気干渉の微弱化など宇宙空間特有の環境変化を利用する。

 中国は1987年から宇宙育種実験を行っており、回収可能な衛星や神舟宇宙船でさまざまな植物の種子を宇宙に送っている。米、小麦、トマトを含む「宇宙作物」の栽培が、中国各地で成功している。(c)東方新報/AFPBB News