【1月4日 AFP】イスラエルの絶え間ない爆撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)。南部ラファ(Rafah)にある動物園では、避難してきた人々がおりの間に暮らしている。そして動物は飢えで死んでいる。

 動物園を経営するアハメド・ジュマー(Ahmed Jumaa)さんはオウムを肩にのせながら「状況は極めて悲惨だ。食料も、水も、医薬品も、何もかもない」と嘆いた。

 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)とイスラエルの戦闘が始まってから3か月近くが経過した。世界保健機関(WHO)は、ガザにはごくわずかな支援物資しか入ってこないことから、飢えと疾病がまん延する危険性を警告している。

 イスラエルはガザを絶えず爆撃をしており、さらに多くの人々がエジプトとの境界に近いラファに避難してきている。ジュマーさんはこうした人々を動物園で受け入れている。「動物園自体は戦争直後に閉鎖したが、家を追われた家族や友人を受け入れている」と語った。

 避難してきた人々は、おりの間にテント代わりのシートを張った。おりの中を歩き回るライオンやひどく痩せたサルの合間に、色とりどりの洗濯物が干されている。

 大人たちは手に入る物で食事を作り、子どもたちはおりの中の動物を眺めている。どの動物もおなかをすかせている。

「餌がないので死んでしまった動物もいる」とジュマーさん。「ライオンが子どもを産んだが餌をやれず、子どもたちは死んでしまった」「サルや鳥も同じような状況だ」

 最後の手段として、乾いたパンを水に浸してから食べさせているという。

 国連(UN)によると、ガザ地区の住民の85%が避難民となっている。

 ジュマーさんは「戦争当初は何とかやれたが、今では手に負えなくなっている」と語った。

 肉は不足しており、価格も70シェケル(約2700円)から400シェケル(約1万6000円)にまで高騰した。

 ジュマーさんは現在、動物愛護団体による支援を待っている。それが最後の希望となっている動物もいる。(c)AFP