■世界的な機運

 BDSは、パレスチナの市民団体によって2005年に立ち上げられた。この運動を通じて、パレスチナ人に対する扱いの見直しを求め、政治経済面から働働き掛けている。

 BDSをめぐっては、反ユダヤ的とイスラエルや米国からは繰り返し非難されている。しかし、共同設立者のオマル・バルグーティ(Omar Barghouti)氏はAFPに対し、「BDSでは、イスラム嫌悪や反ユダヤ主義を含め、あらゆる人種差別に断固反対している」と述べる。

 運動発足のきっかけについては南アフリカの反アパルトヘイト(人種隔離)運動からインスピレーションを受けたと言う。

 BDSでは、三つの要求を掲げて運動を展開する。1967年以降続く占領の終結、アパルトヘイト制度の廃止、そしてパレスチナ難民の帰還および賠償受け取りの権利尊重だ。

 BDSではまた、イスラエルのスポーツ・文化・学術イベントのボイコット、さらにはイスラエルに協力する企業への圧力も呼び掛けている。

 発足から18年、BDSの運動は世界40か国に支部を置くまでに広がった。

 運動に賛同するイスラエル人で、左翼活動家のオフェル・ニーマンさんは「この運動を支持する。ここでの状況を変えるには、世界からの圧力だけが有効となる」と話す。

「非暴力と人権の原則に沿って変化をもたらすことができる。この運動はとても素晴らしい」と述べ、普段の生活では「入植地の製品をボイコットするようにしている」と説明した。

 しかし、ボイコットの実現性に疑問を呈する声もある。

 ラマラで、衛生設備や暖房設備を取り扱うある事業者は、イスラエル製品抜きでは事業が成り立たないと訴える。

 このパレスチナ人の事業主は「うちの顧客は、自宅に置く設備に最良のものを求める」とし、浴槽や配管設備ではイスラエル製品の質を超えるのは難しいと話す。

「パレスチナの食品を選ぶことはできる。しかし、パレスチナでは工業が発展していない」と自身が置かれた難しい立場に理解を求めた。この事業主は報復を恐れ、名前を伏せたまま取材に応じた。