【12月19日 AFP】イスラエルの占領下にあるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)の住民が、イスラム組織ハマス(Hamas)とイスラエルとのガザ地区(Gaza Strip)での戦闘のあおりで借金を背負い込むなど苦境に陥っている。

 ヨルダン川西岸はイスラエルを挟み、同じ自治区のガザとは離れているが、イスラエル政府は10月7日のハマスによる奇襲攻撃を受け、ガザとともに、西岸のパレスチナ人についても労働許可を取り消した。

 そのため、ヘブロン(Hebron)近郊ハラスに住むイブラヒム・キクさん(37)のように、生活苦にあえぐ住民が増えている。

 子ども3人の父親であるキクさんは、イスラエルで建設作業員として働き、6000シェケル(約23万円)近くの月収を得ていた。しかし、労働許可が取り上げられ、仕事を失った。

 キクさんはAFPに対して、「ぎりぎりで生活していた。借金が増えているが、食料品を買ったり、家賃や水道光熱費を支払ったりしなければならない」と訴えた。借金額は7000シェケル近くに上っている。

 ハラスの住民は約1万2000人。地元当局によると、以前は労働者の7割が毎日、検問所を通ってイスラエルに働きに出ていた。残りはパレスチナ自治政府に雇用されているが、戦闘開始後に経済規模は3分の1以上も縮小し、自治政府は給与支払いに難渋している。

 自治政府経済省の当局者マナル・カルハン氏によれば、イスラエル政府は西岸のパレスチナ人13万人分の労働許可を取り消し、パレスチナ製品にかかる税金6億シェケル(約233億円)を差し押さえた。

 カルハン氏によると、現在、税金の逸失とイスラエルに住むアラブ系住民(パレスチナ人)による観光需要の減少により、自治政府は大きな収入源を失った。