【12月15日 AFP】医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」は14日、ハイチの首都ポルトープランス中心部にあるトゥージョウ救急センター(Turgeau Emergency Center)での活動を一時停止すると発表した。武装集団が、救急車から重篤な患者を引きずり出し、路上で射殺した事件を受けたもの。

 MSFの報道発表によると、事件は12日に同センターの近くで発生した。

 2台の救急車が患者を乗せてセンターから出たところ、約10人の武装した集団が現れ、道をふさいだ。うち1台には最近入院した重篤な男性患者が乗っていた。

 MSFによると、集団は空に向かって発砲し、救急車の中を確認した後、2台目の救急車に後退するよう命じた。1台目の救急車から男性患者を引きずり出すと、殴打し、至近距離から複数回発砲し、現場から逃走したという。

 MSFは、安全性評価が終わるまで同センターは「無期限」で閉鎖すると発表。他の施設では医療の提供を続けるとしている。

 トゥージョウ緊急センターでは1日80~100人を診療していた。

 ポルトープランスでは武装ギャングが原因で、複数の医療機関が閉鎖に追い込まれている。

 国連(UN)によると、ハイチでは今年これまでに8000人以上が死傷または拉致されており、すでに前年の総数を超えた。

 国連は、ポルトープランス首都圏の推定8割の地区が武装ギャングの影響下、もしくは直接的な支配下にあるとしている。(c)AFP