【12月6日 AFP】スイスでこのほど、若い女性をかたどった、約2000年前の大理石の彫像の頭部がリビアに返還された。彫像は10年前にジュネーブの倉庫で発見されたもので、違法取引との関連が示唆されていた。スイス当局が5日、発表した。

 高さ19センチの彫像の頭部は、紀元前1世紀から1世紀に作られたヘレニズム時代のもので、赤みがかった摩耗から、リビア東部のキュレネ(Cyrene)遺跡から出土したものと考えられると、スイスの連邦文化局は述べている。

 彫像は5日、文化局からベルンにあるリビア大使館に手渡された。

 文化局は声明で「この文化的に重要な考古学的遺物は、ジュネーブ州での刑事事件捜査の過程で押収された」とし、「アフリカ北部にまでギリシャが進出していたことを示すものだ」と述べた。

 彫像は2013年の税関検査で見つかった。発見から3年後に検察当局が刑事事件として捜査を開始。「違法な発掘との関わりを示唆する十分な理由がある」として押収された。

 捜査では、彫像が発見された場所やスイスに運び込まれた経緯については突き止めることができなかった。

 スイスとリビアは共に、1970年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が採択した文化財の不法輸出入を禁止する条約の締約国となっている。(c)AFP