【10月26日 AFP】2012年に長崎県対馬の寺から盗まれた14世紀の仏像の所有権を主張して韓国の寺が起こしていた裁判で、同国大法院(最高裁)は26日、原告の訴えを棄却した。これを受け、日本側への返還に道が開かれることになった。

 仏像は対馬の観音(Kannon)寺から韓国の窃盗団によって盗まれた。窃盗団は韓国に持ち帰って売却しようとしたところを逮捕された。仏像は押収され、聯合ニュースによると現在、大田(Daejeon)広域市にある国立文化財研究院(National Research Institute of Cultural Heritage)に保管されている。

 仏像をめぐっては2016年、韓国中部の浮石(Buseok)寺が、14世紀に日本の倭寇(わこう)によって盗まれたものだとし、返還を求める訴えを起こした。

 一審判決は日本側に「略奪された」と認定、浮石寺の主張を支持した。しかし、今年2月に出された二審判決は、所有権は観音寺に移っているとし、一審判決を取り消した。

 この日の大法院判決は、仏像がもともと浮石寺で制作・安置されていたことを認定。しかし、「仏像は高麗王朝期(918~1392年)に倭寇に略奪された蓋然(がいぜん)性は高いが、そのことによって観音寺の所有権が覆されるものではない」とし、「(浮石寺の)所有権は喪失している」との判断を示した。(c)AFP